年中旅行、時々プチ移住

私の渡り鳥生活

ペナン島に住み、日々が経つにつれ、旅行気分は薄れ、異国での生活が日常になっていきます。
ペナン島での生活の時々に、昔の思い出が甦ります。今は、ペナン島を離れて「年中旅行、時々プチ移住」という
渡り鳥生活、プチ移住についての情報を発信しています。 キャリーケース1個、ナップザック1個の旅装です。

個人間相対取引とLE VESINETの思い出(1992/93年)

今朝のコンドの部屋からの日の出です。
海の埋め立て工事は、だいぶん進んでいます。

ペナンでは、個人間の相対取引で
清掃人へのペンキ塗りの仕事依頼、
ハンディマンへの網戸取り付け作業依頼、
Mudah経由の取引などを行いました。
ペンキ塗りでは、清掃人の勝手な仕事
ぶりに呆れました。


ハンディマンの網戸取り付けは悲惨な
結果でした。


Mudahでは、2回取引をしましたが、いずれも、
きちんと、売買取引は終了しました。
2回目の取引の受け渡し場所Karpal Singh Drive
では、ペナン在住のアーティスト、中山一人氏の
作品も観る事ができ、貴重な体験をしました。



フランスでは、この個人間相対取引は頻繁です。
Travail Noir(闇労働)*、地下経済につながる、
etc…いろいろネガティブな面も言われて
いますが、付加価値税(現在20%、他に
食料品などは軽減税率もあり)の高いフランス、
イタリアなどでは、サービスに付加されるこの
税金を逃れるため、個人間では、サーヴィスの
提供側も依頼側も大歓迎で、頻繁に横行して
います。
私がパリにいた頃、サンジェルマン・アンレの
ブルヴァルド・ベルリーブという、セーヌ河畔
に住んでいたマリテは、夏のバカンスの間、
大工さんのポーランド人一家にアパルトマンを
明け渡し、その間、細かな補修作業(内壁塗り
直し、その他)を毎年、依頼していました。
その間の家賃はタダ、その代わり、依頼した
作業をやっておくことを条件にしていました。
彼女の家はいつもピカピカ、新築のようでした。
実は、私も、パリにいた頃、郊外に一軒家を
借りた時に、その補修工事でこれを行った事
があります。
昔の思い出です。
1992年6月のことです。
家族で昼食に招待されていた、彼女のアパルト
マンのあるサンジェルマン・アンレから、
パリから見てさらに西に10分ほどクルマを
走らせていくと、緑が深く、小さな小川が流れ、
大きな池のあるお屋敷町のようなところが
ありました。

ル・ヴェジネ(Le Vesinet)という町でした。
ロンドンの住宅地と違い、家は一軒一軒違う
造りで、日本でいうところの洋館のような
立派な家が多く建っています。
ロンドンの住宅地は、ほとんど同じつくりの
建売住宅のような建物が並んでいて、どれが
目指す建物か、住所番号を見なければわから
ないようなところですが、ここは違いました。
小川には、白鳥、野鴨がいます。
小鳥のさえずりも聴こえ、樹々の繁りから
木漏れ日も射して来る、という天国のような
環境です。
道にはゴミも散らかっていません。
「ここに住もう・・・」妻も、当時3歳の娘も、
愛犬RIKIは新しい環境に興奮して、
そこらじゅうを跳ね回っていた事を覚えています。
週末に接待の仕事がない時はいつも、家を探しに
地元の不動産屋巡りをしました。
ル・ヴェジネはRER(郊外電車)のLE VESINET
CENTRAL駅と東西に走る線路を挟んで、
北側は小さな商店街とアパルトマンのある地域、
南側は一軒家が緑の中に散在する住宅地です。
1992年9月、ようやくRERから徒歩7分、
敷地650m2,2階建て、地下室付き、の1軒家
(家賃13,000フラン)を見つけました。
今の借主が10月末に明け渡す物件です。

ユトリロの暮らした家が4軒隣、哲学者アランの
家もすぐ近く、です。
パリの賃貸アパルトマンを出る時には、海外転勤
などの特別事情が無い限り、3か月前の事前通告
(ロンドンは1か月前事前通告)が必要ですので、
パリの大家さんには92年12月末までに明け渡す、
という事前通告を出しました。
ル・ヴェジネの1軒家の方は、3か月後では、
借り手がついてしまいます。
不動産屋と交渉を重ね、家の中の壁紙、ペンキ
等が傷んでいることをネタに、私の負担で綺麗
にする代わりに、2か月分の家賃をタダにして
もらい、契約にこぎつけました。
賃貸契約は93年1月1日からでしたが、その間、
工事の人の出入りは自由ということにしました。
フランス人なら、こういう場合、自分たちで
休みを取って、家の中の壁紙張り、ペンキ塗り
などは、やってしまいます。
私は、当時サラリーマン、とてもそういう
休みが取れるわけもなく、さりとて、工務店に
頼めば、付加価値税(当時は18.6%)付きの
バカ高い費用になってしまします。
そこで、会社のコンピュータールームの床上げ
工事に来ていた、工務店の親しくなっていた
職人さんに直接頼むことにしました。
Travail Noir(闇労働)の場合、単純に考えても
支払う側は、労働者の給与に関わる社会保険
等々、及び、工務店のマージン、その全体に
かかる付加価値税を払わないことになります。
Travail Noir(闇労働)をする側は、普段会社
から受け取る給与を時給に直して、多めに
請求しますが(事前交渉)、それでも、
工務店に頼むよりは格段に安くなります。
それで、その時も、自己責任に基づく、
いつもの冒険心でやってしまいました。
友人間のアルバイトと思って許してください。
壁紙やペンキなどは、気に入ったものをBHV
(日曜大工のデパートのようなところ)で
買って、職人さんに渡しました。
結局、3週間の間、12日くらい、働いてくれて、
工事は無事終了しました。
家の鍵は駅前の不動産屋さんに預けていて、
職人さんは、そこで、鍵を受け取り、仕事を
してくれ、不動産屋さんは私の代わりに、
彼の仕事をチェックしてくれました。
大家さんと私の契約のアグレマン(了解事項)
の遵守を見届ける、ということで、協力して
いただきました。
12月に引っ越し、家の暖房用のボイラーの
重油は近くのガソリンスタンドから配達して
もらったり、冬場の凍結を防ぐため、庭の
水道管に覆いを被せたり、庭の落ち葉を掃除
したり、芝刈りなど、パリのアパルトマン
では無いような経験をして楽しかった思い出
があります。
スチームの暖房を入れるだけで、じゅうぶん
暖かでしたが、暖炉に火を入れたりすると、
冬の生活も趣きがありました。
春、夏は庭の緑が生い茂り、テラスに白い
ガーデンテーブルとチェアを出して、
食事をしていると、たとえ宅配のピザでも
本当に美味しく感じました。
昼食後、庭に出したサマーベッドに寝ころ
がって本を読んでいると、そのまま、
昼寝になったことも。
ああ、あの頃は、四季があった・・・
この天国のような環境を離れて、パリに
戻って、アパルトマンを購入して住む
ようになったかは、また、思い出が想起
された時に、書いてみます。


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